効果の多様さや独特の用語などから、苦手とする登録販売者も多い漢方薬や生薬の分野。しかし、漢方薬について知識を深めることができれば、西洋薬ではカバーが難しいさまざまな健康上の悩みに対処することが可能です。
そこで今回は、漢方薬や生薬についてより効率よく学ぶためのコツを紹介します。より幅広い知識を身に着けて、ワンランク上の登録販売者を目指しましょう。
ほとんどが化学合成された有効成分から作られている西洋薬とは異なり、漢方薬は天然の生薬の組み合わせによって作られています。このことから、「体に優しそう」「副作用が少なそう」というイメージが強く、健康志向を持つ人や穏やかな作用の薬を求める人から高いニーズがあります。また、慢性的な不調や不定愁訴、体質による症状など、西洋薬では対処が難しい症状の改善に効果が期待できる点も、漢方薬の特徴のひとつです。
しかし、漢方薬は「無条件で体に優しく、効き目が穏やかで、副作用が起きない」薬ではありません。即効性を示すものもあれば、飲み合わせに注意が必要なものも。そして、身体にとって好ましくない作用を起こすリスクも存在します。こうした一般のイメージとのギャップを埋め、お客様に正しい情報を伝える力も、登録販売者に求められるスキルのひとつだと言えるでしょう。
漢方の世界には、「陰陽」や「気血水」といった独特の用語が存在します。まずは基本的な漢方用語について知ることを通して、漢方の考え方を学ぶとよいでしょう。以下に、代表的なものを簡単に紹介します。
ドラッグストアの棚に並ぶ漢方商品のパッケージをよく観察してみることも、漢方薬について学ぶための一助になります。どの製品にどんな生薬が配合されているのか、どんな効能があるのかを読むことで、薬品名と対応する生薬の種類、期待できる効能を結び付けて考えられるようになるでしょう。市販されている漢方薬にはどのような種類があるのかを大まかに把握することにも繋がる、一石二鳥の方法です。
漢方薬の名前によく使われている字の意味を覚えると、薬名から効き目をイメージしやすくなります。その一例を見てみましょう。
上記の例を踏まえると、「補中益気湯」は「胃腸を補い、エネルギーを増す」薬であること、「半夏瀉心湯」は、みぞおちのつかえや精神的なストレスを取り去る薬であることが、スムーズに想像できますね。
生薬の名前は、カタカナで書き表されることが多いものです。まるで呪文のようで、今一つ頭に入らない…そんな時は、生薬の名前を漢字で書いてみましょう。
このように、生薬の中には、漢字で書くことで何を基原(原材料)とするかイメージしやすくなるものが多く存在します。ただカタカナだけを見るよりも、ぐっと記憶しやすくなるでしょう。
また、動物性の生薬は、植物や鉱物を基原とするものに比べて滋養強壮に多く用いられる傾向があります。基原が動物なのか、植物や鉱物なのかを漢字から推測することで、大まかな作用をイメージする際の助けにもなります。
漢方薬の効能を覚える際、説明文をそのまま覚えようとするのはあまり効率がよくありません。丸暗記ではなく、代表的な効能に要点を絞って覚えることを意識しましょう。下記の例を参考に、「その薬ならではの特徴」も併せて覚えておくと、効能が似ている薬との区別もしやすくなります。
何かを学習する際には、ただメモを取るだけでなく、学習対象を絵に描きながら覚えた方がより記憶が定着しやすくなると言われています。生薬や漢方薬について勉強するときも、イラストを描きながら学ぶとよりスムーズに学習を進めることができるでしょう。
その際、上手なイラストを描いたり、生薬の写真をそのまま忠実にスケッチしたりする必要はありません。生薬や漢方薬の名前や効能から自分なりのイメージを思い浮かべ、ざっと簡単に書き留めるだけでも効果が期待できます。
漢方薬や生薬の世界はとても奥深く、十分に学ぶには根気が求められます。しかし、知識を深めれば、漢方薬局で働いたり、独立して漢方薬を扱う店舗を開業したりといった、より多彩な働き方への道を開くことができるでしょう。お客様の健康へのさらなる貢献のため、そして自分の未来の可能性を広げるために、ぜひ学びの扉を開いてみてはいかがでしょうか。