登録販売者が転職しようとする際は、管理者要件を持っているか、つまり店舗管理者として働けるかどうかで市場価値が変わってきます。しかし、管理者要件をクリアするためには一定の条件が課せられています。
このページでは、管理者要件を満たす条件やメリットなどをまとめています。
登録販売者の資格試験には、2014年度まで「大学などで薬学に関する専門の過程を修了した者」または「1年間以上にわたって一般用医薬品の販売等に従事した者」という受験資格が設けられていました。
しかし、2015年度に改正された登録販売者制度では学歴や実務経験の条件が廃止され、誰でも登録販売者の資格試験を受けることができるようになりました。その代わり、かつては登録販売者であれば誰でもなれた管理者に一定の条件が課せられるようになったのです。
一部の経過措置対象者を除き、管理者になるためには過去5年間において通算2年以上の実務経験が必要です。また、管理者要件を満たさない期間は研修中として扱われます。名札にも「研修中」と明記しなければなりません。
具体的な実務経験とは以下のとおりです。
「過去5年間」では、連続して2年以上の実務経験が必要なわけではありません。複数の企業や店舗で働いた期間を通算することもできます。ただし、1カ月あたりの勤務時間が80時間以下だったり、同一月に同一企業・店舗に勤務していなかったりした場合は対象とならないので注意が必要です。
実務経験によって管理者要件を満たしていることを証明するために、勤務先から証明書を発行してもらいます。「実務(業務)従事証明書」は各都道府県のホームページからダウンロードして使用することができます。過去5年間で複数の勤務先がある場合は、それぞれの証明が必要です。
念のため、前述のとおり月80時間以上の勤務という条件を満たしているか事前に確認しておきましょう。
管理者要件を満たせば、研修期間のように薬剤師や登録販売者(管理者)の管理下ではなくても第2類・第3類医薬品の販売が可能となります。名札からも「研修中」の表示が外れます。
さらに、業務範囲が拡大されることから資格手当が上がるなど年収アップが期待でき、転職にも有利に働くでしょう。管理者要件を満たしていなくても積極的な採用を行なっているドラッグストアもありますが、満たしていれば採用時に優遇される可能性も高くなります。
実際にドラッグストア業界全体が店舗拡大方面に向かっており、管理者要件を満たしている登録販売者の需要が伸びていくと予想されます。
とある転職エージェントによると、管理者要件を満たしている登録販売者の求人数は、満たしていない場合の2倍以上だといいます。多くの企業が即戦力と期待して募集していることがわかりますね。
ここで、大手ドラッグストアの求人内容をチェックしてみましょう。
以下の3社は、2020年ドラッグストア売り上げトップ10にランクイン(※1)している大手であり、登録販売者資格保有者を募集している企業です。その中から、入社時に管理者要件を満たしてなくても店舗管理者にキャリアアップ可能な求人を行っている企業をピックアップしました(調査日時:2021年10月)。
※1 参照元:薬キャリ職場ナビ (https://pcareer.m3.com/shokubanavi/feature_articles/169)
内容は以下のとおりで、あくまでも詳細な部分は確認が必要ですが、管理者要件を求めているマツモトキヨシの提示年収がもっとも高額となっています。
日本各地の店舗で登録販売者(正社員)を募集しています。応募資格では登録販売者資格に加えて、多くの場合は管理者要件を満たしていることが求められています。
新卒入社、中途入社ともに採用を行なっています。登録販売者資格を持っている人が対象ですが、未資格・未経験の人でも応募は可能です。管理者要件については触れられていません。
登録販売者(店長候補)を募集しています。管理者要件については触れられていません。