薬局などで、同じように医薬品を販売する登録販売者と薬剤師。このふたつの職種はどのような違いがあるのでしょうか?このページでは、その疑問に応えていきます。
登録販売者と薬剤師の一番の大きな違いは、登録販売者に調剤する資格がないことです。薬剤師は医師が出した処方箋を基に薬を調剤して患者に提供できますが、登録販売者には調剤できる資格がありません。
医薬品は大きく「医療用医薬品」と「一般用医薬品」に分けられます。薬剤師は医師の処方する薬である「医療用医薬品」の調剤が可能ですが、登録販売者は「一般用医薬品」、つまり処方箋なしで購入できる「市販薬」しか携われません。
一般用医薬品(市販薬)は、副作用のリスクなどに応じて3つの分類がされています。そのなかで、登録販売者が携わることのできる医薬品は第2類と第3類だけです。大まかですが、第1類から第3類までの仕分けを見ていきましょう。
登録販売者は一般用医薬品の第2類&第3類しか扱えないとはいえ、一般用医薬品の9割以上は第2と第3類で占められています。優秀な登録販売者になるには、広い範囲の知識が必要です。
薬剤師と登録販売者になるための資格試験も当然異なります。
薬剤師試験の試験を受けるためには大学の薬学部へ入学し、6年間の薬剤師養成課程を修了することが条件です。さらに一部の大学では、国家試験に合格する見込みが低い学生をあらかじめふるいにかける選抜が行われるようです。
それだけに、薬剤師の国家試験合格率は70%と高いですが、難易度は非常に高いと言えるでしょう。大学6年間の学費も400万から1200万まで(国立と私立によって大きく異なる)かかります。
厚生労働省が発表した平成29年賃金構造基本統計調査では、正社員の男性薬剤師の平均年収は約575万円、女性の場合は約526万円となっています。
登録販売者になるための国家試験は、年1回実施されています。試験は都道府県別に行われ、受検費用は12,800円から18,100円まで、やはり都道府県によってばらつきがあります。
年齢や学歴などを問わず、実務経験なしで誰でも受検できるのが大きなポイントです。
官庁から発表されている数字はありませんが、募集などを確認すると薬局やドラッグストアの正社員で300万円~400万円、店舗責任者になればさらに高収入になるでしょう。
正社員として医薬品を店舗販売する場合、医薬品の説明や相談、レジなどの接客のほか、店内の陳列棚の整理や商品ポップの作成、店内の清掃といった売り場づくり、在庫管理や売り上げ管理などがあります。これらの仕事は、登録販売者でも薬剤師であっても担当するのが一般的なので、実際の業務に大きな違いはなさそうです。
クリニックや病院に隣接された地域密着型の調剤薬局、いわゆる「門前薬局」における登録販売者の1日の仕事の流れを見てみましょう。
調剤薬局は隣接するクリニックや病院の診療時間に合わせて開店し、外来患者さんの診療がすべて終了する18時から19時くらいに閉店することが多いようです。遅くまで営業しているドラッグストアに比べて、比較的早く退勤できると思われます。
定休日も隣接クリニックや病院の休診日に合わせるケースがほとんどなので、多くの場合は日曜や祝日が休みになります。場合によっては連休に合わせた長期休業も可能でしょう。家庭や子育てと仕事を両立したい人にとっては、働きやすい環境だといえます。
ドラッグストアはシフト制勤務の場合が多く、日によって早番や遅番など勤務時間が変わってきます。夜遅くまで営業しているドラッグストアの場合は、遅番だと退勤が24時近くなることもあるかもしれません。
また、一般的にドラッグストアは調剤薬局よりも規模が大きいので、取り扱う業務が大きく変わることもあります。勤務時間帯によっても違うでしょう。業務そのものは在庫管理や事務作業、清掃などルーティンワークも多いので、勤務時間に合わせた業務のマニュアルが整備されていることもあります。
一方で、薬局は薬剤師がメインで対応しますが、ドラッグストアは登録販売者がメインで働いている環境です。忙しくても登録販売者としてのやりがいをもって働きやすいのは、ドラッグストアのほうかもしれませんね。