ドラッグストア業界の店舗拡大傾向で急速にニーズが増えている登録販売者。しかし気になるのは待遇のこと。このページでは、大手ドラッグストアの待遇に関するニュースをまとめています。
新型コロナウイルスの感染拡大が社会に大きな影響を与えている中、マツモトキヨシホールディングスは営業協力への感謝として、パートやアルバイトを含む全従業員約20,000人に対して特別手当を支給しました。緊急事態宣言が出された期間を対象に、4月分、5月分と1月単位で支給されたもので、従業員区分によって段階が設けられているということです。
また、同じく新型コロナウイルス感染拡大防止対策がもたらす経済活動への影響が従業員の生活にも響く可能性を踏まえて、安心して生活・仕事ができるように福利厚生の一環で無利息の貸付制度を導入しました。マツモトキヨシグループに在籍するすべての従業員が対象で、貸付金額は最大20万円。給与天引きによる毎月定額返済となっています。
新型コロナウイルスの影響で打撃を受ける業界が多い中、逆にお客さんが増えているのがドラッグストア。マスクや消毒液などを求める消費者が殺到している様子を目にした人も多いでしょう。
緊急事態宣言下においても、ドラッグストアは日常生活維持のために必要な商品を扱っているため営業を継続してきました。しかし、最前線で働くスタッフは普段以上の来店客数への対応で疲弊しきっているのが実情。全国で約1,300店舗を展開する「スギ薬局」も例外ではありません。
そこで、スギ薬局は本部で働く管理部門のスタッフのうち3分の2を店舗の応援に送り込みました。応援部隊の中には部長級などの管理職も含まれていますが、もともと本部社員が定期的に店舗に赴いて仕事をしていたので即戦力になったといいます。これで店舗スタッフが休息を取りやすくなりました。
さらに、パートやアルバイトを含む全従業員約26,000人に対して特別手当を支給したのです。それには創業者である杉浦会長のメッセージが添えられていました。
従業員をコストだと考える企業も少なくない中、スギ薬局は最前線で働く従業員を優秀な人材という見方をしています。「このような状況下だと、もう働くのは嫌だとなりがち。しかし、スギ薬局の従業員はとても前向きに応えてくれている。うちの従業員は完璧です」と杉浦会長は語っています。
このような臨時ボーナス支給や各店舗への応援、福利厚生などをどのように感じるでしょうか。こういった従業員への対応は、スギ薬局やマツモトキヨシに限ったことではなく、ドラッグストア業界全体が現場の声をすくい上げ、スタッフを労っているのです。
社会経済が過酷な状況に陥る中で、こうした取り組みは従業員のモチベーションアップにつながりますね。
2020年3月末、登録販売者の管理者要件の緩和が発表されました。旧基準では「過去5年の間に2年以上、かつ月80時間の実務経験が必要」とされていたものが「過去5年以上、かつ累計1,920時間以上の実務経験が必要」という形に変更されたのです。
登録販売者の資格は、取得した時点では「研修中」という扱いになります。管理者要件を満たすためには、薬剤師、あるいは既に管理者要件を満たしている登録販売者のもと、医薬品販売の実務経験を積むことが求められるのです。
研修中の登録販売者は、ひとりで店舗に立って医薬品を販売したり、店舗管理や管理代行の業務を担ったりすることはできません。登録販売者の資格をフルに活かすためには、管理者要件を満たすことが必須であると言えるでしょう。
これまでの基準では、管理者要件を満たすために「直近5年間の間に2年以上、かつ月80時間以上の実務経験を積んでいる」必要がありました。しかし、この基準には、「月ごとの勤務時間にばらつきがある場合、十分な実務経験を積んでいるにもかかわらず要件を満たせないことがある」という問題点が。例えば、「月に40時間の実務を5年続けた」という場合、十分な経験を積んでいるにも関わらず、月ごとの勤務時間が足りないために管理者要件を満たすことができなかったのです。
そこで、今回の改正では「直近5年の間に2年以上」の条件はそのままに、「月に80時間以上の実務経験」という部分を撤廃。その代わりに、「累計1,920時間以上の実務経験」という新たな基準を設けました。
先程の「月40時間の実務経験を4年積んだ」というケースの累計勤務時間は、40×12×4=2,400時間。2年間以上、かつ累計1,920時間以上という条件を満たしているため、今後は晴れて管理者として働くことができるようになるのです。
基準が変わったことにより、これまで変則シフトなどを理由に「月80時間の壁」に阻まれていた登録販売者も、管理者として自立することができるようになりました。今回の改正は、より多くの登録販売者にとって、将来の可能性を大きく高めてくれるものだと言えるでしょう。