ドラッグストアに来店するお客様には、初めから特定の商品を購入することを目的にしている方もいますが、非計画的にお店に来店して購買する確率も約70%もいると言われています。これは「何か面白い商品・便利そうな商品・お得な商品はないかな?」というウィンドウショッピング気分でドラッグストアに入り、実際に購入する確率が高いことを示しています。
こちらではそんなお客様をターゲットにして、販売促進につながる売り場のつくり方や目に留まりやすい魅力的なPOPの書き方などを紹介していきます。
こちらでは店舗の総合的な売り場の見せ方について紹介していきます。
お店の顔ともいえる店頭の陳列は、お客様を呼び込む重要なゾーンです。具体的に何か欲しい商品がない人であって、店頭エリアの商品陳列の仕方や品揃えによっては足を止め、その後店内に入り込む可能性を秘めています。
そのため店頭には大きめPOPと共に、店舗の目玉商品(ディスカウントなど)や、季節による需要性の高い商品を魅力的に陳列して購買意欲を刺激する品を揃えるのが原則です。
ドラッグストアの場合、医療品や健康食品、コスメ商品、食料品、日用品などさまざまな商品が売られています。ほとんどのドラッグストアでは、お客様が買い物しやすいように「日用品ゾーン」「食料品ゾーン」「ヘルスケアゾーン」「ビューティケアゾーン」とゾーンニングされていると思いますが、さらに細かくカテゴリーやグループ別に商品を分けて、探索しやすいように分けて陳列しましょう。
商品棚に陳列する高さによっても売れる場所があります。どの高さにどんな商品を並べるかを決める目安になるので覚えておきましょう。
ゴールデンゾーンとは、お客様の目にとまりやすい高さで、最も手に取りやすい80cm~150cmの高さのことを言います。そのためお店が売りたい商品、新商品、需要性の高い商品などを陳列すると、売り上げアップにつながります。
シー(See)ゾーンは、ゴールデンゾーンより高い位置にあるゾーンのことです。手に取りやすい位置ではないものの、天井からの吊り下げPOPやひな壇を活用することで、遠目からも話題性の高い商品をアピールできます。
ゴールデンゾーンより低い位置をディスカウントゾーン、あるいはボリュームゾーンと言います。とくにL字型の棚であれば、価格を抑えた売りたい商品を数多く陳列できます。
日本人は右利きが多いため、左側にカゴを持ち、右手で商品を手にする人が多いです。そのため店内の主通路は左回りにして、カゴがぶつかりにくいように工夫されている店舗が多いようです。
また私たちは、右側に目線や注意が向きやすい傾向にあります。販売に力を入れたい商品は、進行方向の右側に陳列すると購買力が上がると言われています。
商品を手にしたお客様は、必ずレジへ訪れます。レジはお財布の紐が緩みやすい場所であり、他の人が並んでいたら待ち時間ができるために、ふと周辺を見回す時間がチャンス。レジ周りにはふと手に取ってしまうような商品を陳列するのがポイントです。
シーズンごとの医薬品(花粉症の薬や総合漢方薬など)や感染症予防グッズ(マスクやのど飴など)、買い置きしておけば便利だと思わせる商品がおすすめです。
人間の心理は、何度も同じ商品を見せられると印象に残る傾向があります。お店が売りたいと願っている目玉商品は、数カ所に目立つように配置することで購買力が刺激され、売上につながりやすくなります。
これまでは消費者が手に取りやすい売り場全体のゾーニングや導線について述べてきましたが、ここからは医薬品売り場の陳列について紹介していきます。
一般的に市販されている医薬品売り場では、春と秋に大きな棚割り変更があります。そのほかの時期にも新商品の販売や目玉商品、感染症対策など消費者のニーズに応えた売り場づくりに変えていきます。
市販の医薬品の中でも「風邪薬」「解熱鎮痛薬」「胃腸薬」のニーズは高く、ゴールデンゾーンに配置するのが基本です。こちらでは「風邪薬」を具体例に挙げて売り場づくりの説明をしていきます。
風邪薬とひとくちに言っても「総合感冒薬」「咳どめ」「鼻炎薬」「漢方薬」「風邪に向く栄養ドリンク」などさまざまな種類の商品が販売されています。
まずは店舗の立地と客層によって、最も手に取りやすい場所に配置する商品カテゴリーを選びましょう。
例えばビジネスパーソンの客層が多いお店では、ドリンク剤や小ぶりなパッケージの総合感冒薬が良く売れます。
ファミリー層が多い店舗では、家族みんなで使えるような大型パーケージの総合感冒薬や、お子様向けの風邪薬を手の取りやすい位置に置くとよいでしょう。ファミリー層の多いお店では、風邪の予防対策商品のニーズも高めです。「うがい薬」や「生姜湯」「ビタミンCサプリ」などです。
客層に配慮しながら入り口周辺やレジ周り、風邪薬コーナーのゴールデンゾーンなど数カ所に配置すると商品の回転が早くなります。
風邪薬の配置をするときは、時期を見ながら変化させるのも大切です。例えば風邪のひきはじめに適していると言われる漢方薬の葛根湯は、シーズンはじめの秋やエンドの春によく売れます。また、腹痛をともなう夏風邪には胃腸薬などと一緒に販売展開をしてもいいでしょう。
POPとは、商品を親しみやすい手書き風フォントで紹介する広告のことを言います。
お店側が販売を促進したい商品であっても、商品に店員がずっと貼りついてPRすることは困難です。そこでPOPが登場します。POPは「モノを言わない販売員」とも言われるほど、売上を左右するものです。こちらでは、消費者の心を掴むような魅力的なPOPの作り方・付け方について紹介していきます。
どんなに素晴らしい宣伝文句を書いたとしても、お客様の目に留まらなければ読んでもらえません。消費者の目にとまりやすいPOPの書き方は次の通りです。
このほか、押さえておきたいポイントを紹介します。
パソコンで作られたものより、手書きの方が親しみやすいPOPができあがります。可愛いイラストを添えたり、商品の特徴だけでなくスタッフが使った感想を加えれば、そのお店ならではのオリジナリティがさらにアップします。
宣伝したい商品とPOPとのマッチングも大切です。例えば、ポジティブな言葉は暖色系で、ネガティブな言葉や涼しさをアピールするような商品は寒色系で書く、などです。POPを見て一瞬で商品のイメージを思い浮かべられるようなカラー使いで演出しましょう。
お店としては売りたい商品は限りなくあると思います。しかしやたらPOPを付けてしまうと、店舗内のレイアウトは騒がしくなり、宣伝POPは消費者の目に留まらなくなります。POPを添える商品は、お店側が厳選して添えましょう。
スタッフが実際に使ってみた商品や口コミが高評価の商品、通常価格より〇%安くてお得な商品など、お店が自信を持っておすすめできる商品、購入したお客様が喜んでくれるようなものがGoodです。
消費者の目に留まりやすいのが数字です。「〇〇%のプライスダウン」「1日〇〇個売れている超人気商品!」「ビタミンCがレモン〇個分」など、具体的な数字がPOPに入ることで、イメージと説得力がアップします。
POPが汚れていたり、劣化したまま提示していると、お客様に不潔な印象を与えてしまいお店のマイナスイメージにつながります。POPの用紙は耐久性のあるものを使用したり、ラミネート加工をしましょう。